HACKING MOONLIGHT
CONTENTS2020.1.23
ベルリンの壁は崩壊から30周年が経ち、現在はアーティストによるグラフィティペイントが施され世界最大の屋外ギャラリーとなっている。通常ベルリンの壁がSNSで紹介される際は、代表的なペイントの一部分の写真が掲載されるだけに過ぎないが、この歴史的な壁の壮大な全貌・機能をそのままオンラインへ移植することを試みたプロジェクトが「BERLIN WALL ONLINE」である。本プロジェクトは、作者が自らスマートフォンのパノラマモードで撮影したベルリンの壁の全貌(2019年当時撮影可能な全ての範囲)を約1000枚の画像へと分解し、そのままInstagramに手作業で投稿を行ったものである。通常一部分しか見れない壁のスケールを体感できるだけではなく、投稿一つ一つに世界中の観光客からのコメントや、自身のアカウントのタグ付けがされるなど自分の名前のタギング(Tagging)と捉えられる行為も見られ、グラフィティの文化的側面や観光機能ごとオンラインに移植することに成功した。グラフィティ作品は上書き行為(Going Over)により更新されていく文化的特性があるが、本プロジェクトは崩壊30周年というタイミングの壁の状態の記録としても機能する他、訪れたユーザーによりペイントの作者が発見されるなどプラットフォームとしても活用もされている。コロナウイルスの影響で観光客がベルリンへと渡航しづらい現在でも、日々世界中の人々がこのページに訪れ続けている。